GLOOMY SUNDAY-Tribute to Billie Holiday-おすすめ度:![]()
(2009-01-06)
本当に自らの声で歌っているかのごとく一つ一つの音のあつかいが丁寧で、歌詞の意味さえ聴こえてきそうな演奏に引き込まれました。更に「奇妙な果実」や「サマータイム」にみられるフリー的なアプローチも今までのアルバムでは聴き取る事の出来なかった矢野沙織の大きな魅力であることに気づかされました。それにしてもこのアルバムで聴く事の出来る矢野沙織の演奏は、切なさやら、怒りやら、倦怠感やら…何とも得体の知れない混沌とした魅力に溢れています。ジャケットを含むビジュアルもそんな雰囲気に満ちていて、コンセプトアルバムとしての一貫性も感じます。
(2008-12-20)
ジャズのサックスとかトランペット奏者にとっては、With Stringsというのは、一度は録音してみたい夢なんだろう。
過去にいろんな名プレーヤーがWith Stringsに挑み、中にはあまり評判の良くないものもあり、難しい。特に日本の古くからのジャズファンは、ストリングスは甘過ぎるということで最初からネガティブな聴き方をする人が多いように思われる。
私はもともとイタリアンプログレやカンタベリーミュージックが好きな人なので、ストリングスやオルガンの厚みのある音にソロ楽器が絡みついていくこの手のサウンドも好きなのだが。
また、私は矢野沙織のアルトサックスが大好きである。曲にもよるが、何とも言えないさわやかさや切なさがあるし、生真面目なミュージシャンだけに、フレージングが丁寧で耳当りが良い。ものすごく息が長いとは言えないが、歯切れがいい、気持ちいいサウンド。
斉藤ネコ氏のアレンジによる流麗なストリングスは美しいサウンドに仕上げられており、それに乗る矢野沙織のソロも気持ち良く聴ける。ただ、美しいけれども、ストリングスに絡みつくには、ちょっと線が細いというか、優等生的過ぎるというか、もっと図太さとか、八方破れなところがあったほうが面白かったような気がする。
結果的に、With Stringsを録音するには、ちょっと早かったのかなというところだ。ただ、悪い演奏ではなく、かなり快適に聴けるサウンドであり、どうしても小編成のバックでなければという拘りがないのなら、買って損ということはないだろうと思う。
ただ、このジャケットと矢野沙織の髪型・色・メイクは大いに不満。前作Little Tinyのジャケット写真は実にキュートで良かったのに、それに比べ、本作はいかがなものか。
まさか矢野沙織本人の希望とは思えないから、製作サイドの指示なのだろうけど、実際に矢野沙織のCDを買ったりライブに集まるファンの好みを分かっているとは思えない。
私は買ったけど、このジャケットでは、あまり購買意欲をそそるものとは言い難い。ダウンロードではなくCDを買う人にとっては、ジャケットも重要な要素なのだから、日本コロムビアの製作スタッフにはもう少し考えてほしかったところだ。