The Complete Recordingsおすすめ度:![]()
(2008-11-08)
周囲を取り巻くあらゆる雑音も聞かなかったことにする。
そしてサウンドだけに耳を傾けよう。
そこで感じるものがあるのかないのかがすべてなのだ。
1990年に出たこのCD2枚組パッケージはその役目を終えつつあるがリリース当時の反響はそれはそれは凄かった。権利関係のゴタゴタで遅れに遅れていた「コンプリート・レコーディングス」の企画がようやく実現、しかも当時やっとアメリカでも普及段階に入っていたCDという新しいメディアでのリリース。ジャケットには「伝説」を徒に増幅しかねないキマリ過ぎのあのポートレイト(当時彼の写真はほとんどマスメディアには流布されていなかった。あまりにも出来すぎているので私はいまだにフェイクなんじゃないかと半分思い込んでいる・笑)。当初はLP棚にも対応した縦長のボックスに縦長の解説書、同じジャケットのプラケース2枚入りで売られていた。
既に "King Of The Delta Blues Singers" の Vol. 1 と Vol. 2 をLPで聴いていたので、別テイクを含めた全29曲41テイクをクロノロジカルにまとめて効率よく聴けるのは個人的にはありがたく特に違和感も感じなかったが、確かに初めて聴く者にとっては苦行だったかもしれない。やはりこれはマニア向けのリリースなのだ。CBS → Sony は、これを決定盤としてしばらくコンピレイションさえ作らなかった。
ところが1990年代後半、"Traveling Riverside Blues" の別テイクという新たな発見があった。"The Complete Recordings" を改訂してこのテイクを収録すれば「コンプリート」のままだったのに Sony はそんな面倒臭いことはせず、アナログ時代のコンピ "King Of ..." の Vol. 1 をCDでリイシュー(1998年)し、このテイクをボーナストラックとして収録した。後に Vol. 2 (2004年)が続くこのリイシューはリマスタリングが施されていて音質が改訂されているので "The Complete Recordings" で満足しようとしていた者も心揺らぐところではあった。
音質に関しては、1990年盤はSPのスクラッチノイズが抑えられている分サウンドに生々しさが若干欠けていて、リマスター盤の方はスクラッチノイズが若干目立つだがその分サウンドの生々しさがアップしている。角のとれた丸みのあるサウンドか、エッジの効いた鋭さのあるサウンドか、どちらを選ぶかなのだ。あくまで私見だが、ロバート・ジョンスンのような表現者には後者の方が合っているように思う。どちらにせよ戦前復刻音源としては最高レヴェルのトリートメントには相違ない。
現行CD音源でロバート・ジョンスンを最良の状態で聴きたければ、この2枚組と "King Of ..." の Vol. 1 & 2 は必須である。初心者は "King Of ..." の Vol. 1 & 2 を聴けばいいと思うが、数曲のダブリがいまだにそのままというのはどうかと思うし、表現・アレンジが全く異なりマスターを凌いでいる場合さえある別テイクを聞き逃すのはもったいないことだと思う。
Sony には "Traveling Riverside Blues" 別テイクを含み、その他 "King Of ..." 未収録別テイクをすべてリマスタリングした改訂版 "The Complete Recordings" を出してほしい。曲順については、考えてみれば、当時未発表でマスターテイクとして扱われていない曲があるのだから、マスターテイク分2枚+別テイク分1枚にまとめるわけにもいかないので別テイク並列は仕方ないだろう。メディアプレイヤーがこれだけ普及している現在では曲順自体あまり意味を成さないかもしれないが。
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とか何とかレヴューしたら11/16に42テイクすべて収めた日本盤3枚組出ますね! テイク並列の曲順、紙ジャケ仕様。音質はどうか...。
(2007-04-20)
ここに収められた伝説的な名曲の数々の個々の質に関しては何の文句もない。とにかく聞け、ということだ。
しかし、同じ曲の別テイクを隣り合わせて並べた編集ゆえ、日常的に鑑賞するのに向いた内容ではない。
既発テイクと従来未発表だったアウトテイクを聞き比べたいマニアにとっての資料的価値を考えてこういう曲順になったのだろうが、これが決定版と聞いて買ってしまった初心者の方には苦行になりかねないので、まずは曲順をプログラムして、本テイクだけを繰り返し聞くことをお勧めする。
そんなのは面倒くさい、という人には別テイクを含まない『King of the Delta Blues』のほうがおすすめだ。
(2006-06-22)
ロバート・ジョンスンというブルース・シンガーには常に悪魔の気配がまつわり付いている。
「Rambling On My Mind」(Take1)の中でジョンスンの声がふと遠のく箇所がある。ジョンスンを聴き始めた頃、ひどく気になって仕方がなかった。夜中にヘッドフォンで聴いたりしていると、妙に想像力が働いてしまうものだ。おそらくジョンスンの口が偶然マイクロフォンから離れただけのことなのだろうが、その箇所を聴く度、どうしても悪魔の気配を感じずにはいられなかった。
録音中、何かの気配にジョンスンが肩越しに僅かに振り返る。すると当然マイクロフォンから口が離れ、声が遠のく(最後の"I got mean things"のところだ)。その視線の先、部屋の薄暗い片隅には、膝を抱えて悪魔が坐っているのだ。魂と引き換えにジョンスンにギターを弾けるようにさせてやった悪魔である。しかしジョンスンは当然のようにその姿を受け入れ、歌い続ける。
ブルースを聴く習慣のない者にジョンスンの音楽を薦めようとは思わないし、カントリー・ブルース・ギターに興味を示さない者にも薦めようとも思わない。ただ言えるのは、何かを契機にジョンスンを聴き始め、長く付き合うようになると、郷愁めいたものを覚えてくるのではないか、ということだ。かれこれ四半世紀以上も親しみ、今では車の中でCDで聴いたりもしているけれども、ジョンスンの音楽とは隔絶した世界にいるにも拘らず、その歌や演奏に心安らぐものを確かに見出している。いい音楽ーーだろうと思う。
しかし、それでも尚、「Rambling On My Mind」を聴く度、例の箇所で思わず耳をそばだててしまう自分が、今でもいるのである。
ロバート・ジョンスンというブルース・シンガーには常に悪魔の気配がまつわり付いている。
(2005-11-07)
このアルバムに出会って12年、クラプトン・ストーンズ等の意見を参考に買ったけど、初めて聞いたときは吐き気がするほど、不快感を感じたのを憶えています。
たぶん初めて聞いた人はどの曲も同じ様な曲に聴こえるはず。
そんな感じだから、興味本位で買った人は、よっぽどの人でない限り、一度は買って後悔するはずです(断定しすぎかも?)
でもなぜか気になり、何時からか、無性に聴きたくなり、人に自信を持って勧めたくなるはず。そう断言出来るアルバムです。
クラプトンに興味がある方は交互に聞くと色んな楽しみが見つかるはずですよ!!
(2005-07-27)
口コミでの噂が先行し絶対的な名盤となっているが、実際どうだろう?録音は36年と37年。この時期にはチャーリー・クリスチャンやT-ボーン・ウォーカーはエレクトリック・ギターを使用していたはず。白人の先生方の見解で凄い人になってはいるが。デルタ・ブルースの流れは、チャーリー・パットン~サン・ハウス~マディ・ウォーターズでこと足りてしまうのでは?B.B.キング、ジョン・リー・フッカーの証言では、あまりそうでもなかったとも言っている。ロック・ギターからブルースを聴く人にとっては絶対的存在だが、フィーリンング重視の人にはそうでもないかも。