Toast: The Story of a Boy's Hungerおすすめ度:![]()
(2007-06-18)
イギリスを代表するフードライター、ナイジェル・スレーター。この本では、彼が過ごした幼少・青年時代の「両親と自分」にまつわる思い出が、「食」の世界を通して綴られています。
イギリスの家庭・伝統料理やお菓子をキーワードにして、家事の苦手な母親、厳格で庭いじりが好きな父親、料理上手であることを誇りにする義母、レストラン修行時代に出会った人々との経験が、数々の短編で描かれています。その一話一話は、面白おかしく、時には切なく表現されていて読者を飽きさせません。家族の話とは別に、セクシャルな話題(珍話に近い)がオープンに語られているあたりにも、ナイジェルの個性が出ていると思います。
ナイジェルが成長するにつれ、非情な義母への嫌悪と、そんな彼女を愛する父親へ向けた不信の念など、理解し合えない家族に生じる孤独感を含む表現が多くなり、感傷的になります。それと同時に、好き嫌いの多かった男の子が、作ること・食べることへの興味を職業として生かすことができた背景には、いつもキッチンに立って子供に愛情を注いでいた実母の姿があったからだと言うことにも気づかされます。
本文には、お菓子や缶詰などの商品名が頻出するので、イギリスの読者であれば、共感できる部分も多く話の詳細まで堪能できると思います。そのあたり、私のような外国人にとっては分かりづらいのですが、1960年前後のレトロフードと、ある一家庭の食事情を学ぶ貴重な機会だと捉えることができるでしょう。
イギリス人であれば5つ星!と言う気持ちを込めて、今回は星4つ!!
(2004-08-30)
イギリスのセレブリティシェフの1人、ナイジェル・スレイターの自伝です。ありがちな有名人の立身出世物語ではなく、一つの物語・作品として成り立っています。彼の人生観が静かに伝わってきます。ハッピーな人がハッピーな料理を作るわけではないのだなあと思いました。彼あるいは彼の料理のファンだけではなく、最近日本でも人気のあるジェイミー・オリバーのファンの方、イギリスの生活に興味のある方、英語で何か本を読んでみようとお考えの方、色々な方にお勧めできます。英語自体は、彼の独自のスタイルが反映されていて、少し慣れが必要かも知れませんが、この自伝は食べ物に関する短いエッセイから成り立っているので、それほど苦労もなく、楽しく読めると思います。もし彼の料理の本を読まれたことがあったら、是非この本も手に取ってみて下さい。もっとナイジェル・スレイターの世界に親しみがわきます。そして、この本は道に迷った時に読みたい一冊でもあります。