競争戦略論 一橋ビジネスレビューブックス従来の経営戦略の専門書のわかりにくさを解消するべく、本書では、全体像と個別の理論の関わりが非常にわかりやすく描き出されている。具体的には、企業の「内」「外」ならびに「要因」「プロセス」の2つの分類軸を用いて、既存の主要な戦略理論を、ポジショニング、資源、ゲーム、学習という4つのアプローチに分類して整理したうえで、日本企業の実例を題材にした議論やエクササイズを効果的に盛り込んで体系的な学習および理解の促進を図っている。
豊富な国際経験をもつ著者は、日本における実践の裏づけのない安易な理論の学習や研究の氾濫に警鐘を鳴らすとともに競争原理の導入による本邦大学の経営学教育のレベル向上を果敢に進言する。外部から眺めているだけでは経営の問題の本質など見抜けるものではないが、企業との接点のない読書家が教壇に立つことを長く許容してきた日本の経営学の世界は、本場米国の学識者には理解し難いものだった。著者のような正統派の本邦教職者の活躍が切望される。(徳崎 進)
おすすめ度:![]()
(2008-11-03)
本書は、戦略論の全体像を理解するための「優れた教科書」といえる。
著者曰く、「本書で重視したのは、個々の理論の詳細を正確に記述することではなく、理論的な考え方の全体像を把握した上で、現実に物事を考える姿勢である」とのこと。したがって、本書は、戦略論に関する個々の知識の羅列ではなく、戦略論全体像と各戦略論の個別の位置づけが理解できる様に、著者なりの工夫がされていて好感が持てる。
また、「日本人が書いた戦略論テキスト」というキャッチコピーの通り、ケースの大半が身近な日本企業の実例で解説されているので、読み進めていく上で事例把握の為の負担が少ない。
戦略論としてのオリジナリティには欠けるが、戦略論の全体像を理解するには最適の入門書ではないか。
(2008-01-07)
競争戦略論について、とてもわかりやすくまとめられた一冊です。
戦略論については、多くの学者や実務家がさまざまな形で説明していますが、本書では、企業の「内」と「外」という軸、そして「要因」と「プロセス」という2軸をかけあわせた形で戦略論を整理しています。
前半では「ポジショニング・アプローチ」「資源アプローチ」「ゲーム・アプローチ」「学習アプローチ」に各1章を割き、丁寧に解説しています。それぞれの章では、身近な事例や実際の企業の事例を盛り込んで解説されていて、とてもわかりやすいです。
また、後半では「複眼的戦略アプローチの応用」ということで、前半で紹介された4つのアプローチは排他的なものではなく、それぞれをバランスさせて考えることが説かれています。また、前半では事業戦略について説明されていましたが、後半の1章を割いて全社戦略についても説明があります。最後の章は「日本企業の問題と戦略の重要性」として、日本企業が抱える戦略的課題について説明しています。
既に何らかの本で戦略について勉強したことがある人には既知の内容ばかりかもしれませんが、一冊の本でポジショニング・アプローチと資源アプローチなどをバランス良く解説している本はたくさんあるわけではないので、頭を整理するには良い本だと思います。また、解説に癖がないので、初めて戦略論を学ぶ人にも適した一冊と言えると思います。
(2007-07-14)
特段新しいことが書いてあるわけではありませんが、2つの軸を使って既存の理論を4分類することで、頭の中を整理することができます。『個々の理論自体は知っていても、体系立った理解はできていない』という方におススメします。
(2007-03-21)
世にあまたある競争戦略の理論を二つの軸を使って4つに分類し整理して
みせた本。著者らの研究成果に基づいた主張という要素は少ない。
ビジネスの経験が少しはあって、何かのきっかけで体系的に戦略論を学ぼ
うという人、あるいはすでに何冊かの本を読み終え、一定の断片的な知識を
インプットしているが、なかなか実戦でうまく使えない、仕事仲間との議論
がかみ合わなくて消化不良に終わる人など知識がうまく体系化されていない
人などがざっと目を通すと、その先の見通しがうんとよくなる・・・そんな
本です。
(2006-09-07)
2人の若手学者が論争して書いた戦略論の入門書である。ラーメン屋の例等で大学生の興味を引こうとしている点は、読者の評価にお任せする。
しかし、ポーター等の外国の学者の理論をそのまま受け継い述べるより、著者が試行錯誤して読者の理解を深めようとしている点は高評価したい。さらに「内ー外」と「要因ープロセス」の2軸で戦略論を分類した試みは画期的である。今後の活躍を期待できる。