クリティカルチェーン―なぜ、プロジェクトは予定どおりに進まないのか?本書でも一連の作品と同様に、既存の手法が通じない経営問題に直面する主人公がTOCに出あい劇的な成果をあげるという、「コストワールド」から「スループットワールド」への転換を興味深く描き出している。その「世界」を体験させてくれる大きな役割を果たすのが、定番の小説スタイルといえよう。
ストーリーは、大学のエグゼクティブMBAのクラスを舞台に繰り広げられる。主人公の教授と、各業界から現行のプロジェクトの納期短縮といった使命を帯びて集まったプロジェクト・リーダーらが、議論を戦わせながら現実的なソリューションを求めていく。
プロジェクトの問題点はここで総ざらいされる。納期直前まで作業を始めない「学生症候群」、結局は無駄になる「セーフティー(時間的余裕)」、あるいはクリティカルパス以外の作業の開始時期、プロジェクトの評価基準などだ。TOCはそれらを見事に解決するが、同時に、クリティカルパスの変化やマルチタスク(掛け持ち作業)による人的リソース不足といった実行段階の問題を解く新たな視点も要請する。それが「クリティカルチェーン」である。
謎解きのような展開にはやや焦らされるが、具体的な事例をもとにプロジェクトマネジメントの基本を順に追うことができるのはよいトレーニングになる。エッセンスがつまった部分としては、取引先との納期の交渉シーンなどが見ものである。読者を限定しない1冊で、これでTOCはさらに浸透するだろう。(棚上 勉)
おすすめ度:![]()
(2008-11-22)
著者ゴールドラット氏の提唱するTOC (Theory Of Constraints)はトヨタ生産方式の中核である JIT (Just In Time) の発展版ともいえる。 トヨタ生産方式と同様にTOCの適用範囲は生産管理に留まらない。
今回の適用事例はプロジェクトマネージメント。
この本の面白いところは3つ
・企業でよくある事例を使って説明しているので現場への適用妥当性に現実感を持たせている
・MBAの授業の臨場感ある設定、なので説明が分かりやすい、疑問や解決策への理解が深まる
・同時に主人公である講師の私生活や授業での葛藤を描くことにより物語としてあきさせない。まじで面白いです。
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誤解を恐れず狭い意味での技法に着目して説明する。、
プロジェクトでの制約条件はクリティカルパスである。PERT図(ネットワーク図)でプロジェクトのタスクを並べて、計画をするとたいてい納期を超過する計画になる。
理由は書くタスクに安全代を乗せているから。
代わりに、各タスクにバッファ(つまり安全代)を乗せずに、全ての安全代をプロジェクトバッファとして、最後に乗せる。 こうすることにより、プロジェクトの総リードタイムを短く出来る。
但し、クリティカルパスの遅れを吸収するために、クリティカルパスへ合流する部分へバッファを置く。
クリティカルパスでの遅れが出ないように進捗管理する。
以上が基本。
ところが、複数の並列するタスクを同一の作業者が掛け持ちすると、複数の仕事を同時に始められないことによりクリティカルパス以外のパスに遅れがでだす。 この、同一作業者(ボトルネック)のタスクを結んだものを ”クリティカルチェーン”呼ぶ。
対策としては、 このボトルネックタスクを最初に優先度を付けて計画しかつバッファを入れる、その後に他のタスクを計画する。
(2008-05-25)
小説形式で、プロジェクトがなぜ締め切りどおりに進まないのか、対処はどうしたらいいのかを教えてくれる良書。TOCに興味がある人にはお勧めの本。
MBAの授業形式をとっているので、MBAを持たない僕にもMBAの授業ってこういう風に進むのかぁ(また、逆に進まないのか)という参考になった。
仕事をしている人、プロジェクトをかかえていう人はぜひ読んでみて欲しい。
反対に、学生とかプロジェクトをかかえたことの無い人には、実体験や問題意識が少ないだろうから、この本の本質的な理解が難しいのではないだろうかと感じた。
(2007-08-17)
ゴールドラット博士の本は、これが始めてです。
小説形式なのは、とっつくやすく読み進めやすいという利点がありますが、
ストーリー展開とか、いわゆる小説を期待してはいけませんね。
あくまでも、プロジェクト管理へのTOC理論の応用を具体的に展開する
ツールという風にわりきっていいと思います。
さて、製造業に限らず、業務プロセス、プロジェクトプロセス管理は、
予算超過、スケジュール超過という2大問題は避けて通れない宿命の感が
あります。現実には、KKDで乗り切るということが多いのではないでしょうか。
それは、誰にとっても本意ではありません。
本書を読むと、なぜそういった問題が発生するか、が理論的に説明される
場面が登場しますが、かなりスリリングな場面でもあります。
結局、PERTやガントチャート、クリティカルパスなど管理手法やツール
があって、きっちりと進捗管理しているようでも、特に人間系プロジェクト
は理屈だけではうまくいかない。
そんな現実に即して、ボトルネック発見と制約理論適用を説き、プロセス
チェーン、クリティカルチェーンを唱える本書は、知的興奮を覚えると
同時に、実際のプロジェクト計画運営にも適用可能と思える、すぐれた啓発
の書と言えると思います。
ちょっとお話がだれることと、途中が小説「ではない」ところが読みにくく、
気になったので、★3つにしました。
(2007-03-27)
本書で提案されている手法「クリティカルチェーン」の面白いところは、人間心理の特性を重視している点です。本書は「確かに!」と共感しながら読めました。
私もソフトウェア開発にかかわっているひとりですが、経験的にも工数見積もりは不確定要素を見込んで多めに見積もられることが多いと思います。なのに、なぜプロジェクトは遅れるのか?
そこで登場するのが人間の心理。締め切りぎりぎりにならないとなかなかやる気にならない学生症候群。そのため、遅れは蓄積すれど、余裕量はたまらない。。結局最初にみつもった余裕工数(セーフティ)はスケジュールを伸ばす要因にしかならない。極論ではありますが、的を得ている分も多分にあると思います。
本書では、解決策として「マイルストーンをなくして〜」と話が続きます。そこまでするかどうかは別にして、本書に書かれたような人間心理が存在することは間違いないかと思います。
ソフトウェア開発に限らず、なぜプロジェクトがスケジュール通り進まないのかと悩んでいる方におすすめです。
(2007-03-22)
ゴールドラット氏考案のTOCをプロジェクトマネージメントに
応用した理論が展開されている。
現状、様々なプロジェクトにて製造業とのマッピングが
唱えられているが、その先駆けともいうべき理論。
事象は具体的であるが、あくまで机上の理論ではある。
この応用された理論を、自分で消化しさらに応用しなくてはならない。
成功すれば、すばらしい実績となるのであろう。