ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か長引く経営の悪化、工場閉鎖までたった3か月の猶予期間、多忙な日々のなかないがしろにしてきた妻との離婚の危機…。アレックスは、あまりの危機的状況にすっかり意気消沈していた。その前に、モデルは著者と目される恩師、ジョナが現れ、彼にアドバイスを与える。工場を救うために業務改善に挑む登場人物の苦悩や目標達成の興奮が伝わってきて、ビジネスの醍醐味を感じさせるストーリーだ。
本書は小説ではあるが、その内容は恐ろしいほど実践的で、会計情報の正しい見方や落とし穴、「効率化」の陰に隠された諸問題を浮き彫りにする。魅力的なストーリーの中に複雑な業務改善のノウハウがわかりやすい形で盛り込まれており、ビジネスパーソンやマネジャー必読の内容である。
また本書は、問題解決にあたってはゴールを共有し、信念を貫くことが重要であること、数字の陰に隠された実態を見抜くことの重要性、情報共有化の意義など、経営において重要な示唆も与えてくれる。
本書が長い間日本で出版されなかった理由については、「解説」で著者エリヤフ・ゴールドラットのコメントが引用されている。それによると、「日本人は、部分最適の改善にかけては世界で超一級だ。その日本人に『ザ・ゴール』に書いたような全体最適化の手法を教えてしまったら、貿易摩擦が再燃して世界経済が大混乱に陥る」というのが出版を拒否し続けた理由らしい。
本気か冗談か知らないが、いずれにしろ、アメリカが出し惜しみするほどの名著を日本語でも読めるというのは非常に喜ばしいことである。(土井英司)
おすすめ度:![]()
(2009-01-06)
この本で初めてTOC、制約条件の理論という言葉を知り、とても興味をそそられました。しかし手法的にはリーン、JITに内包される部分が多く、著者ゴールドラット博士の専売特許というわけではないようです。
内容的にはストーリーを読み進めていくうちにTOCを理解できるという小説。
かなり分厚い本ですが苦もなく最後まで読み切りました。
この本を皮切りにTOC関連の書籍を多数読むようになり、また、トヨタ生産方式、JITやTQM関連の書籍を改めて読み返すきっかけにもなりました。
ただ前述の通りTOCの手法を物理的なリソースに限って考えてしまえばトヨタ生産方式の逆輸入版?という感じですが、制約条件を企業内の慣例化したルール、企業文化などの概念的なものに当てはめて解消していくという風に考えれば参考になる部分は多いと思います。
またスループット会計という考え方にも非常に興味をそそられました。
専門は会計ではないので会計の人間がどう思うかはわかりませんが、スループット会計を使って仕事を計ってみたいとも思いました。
会社の利益を制限しているものは何か?
部分最適を押し進めた結果、全体最適が後回しにされる。
この考え方はいまさら感がありますが、まだまだ多くの会社では蔓延していると感じています。
また、主人公アレックスを助けるコンサルティング的なジョナが使うソクラテスの対話的な教示方法はとても参考になりました。
質問を投げかけ、自らが考え答えを導き出すように仕向ける。
モチベーションという側面からみても、ただ指導、指示するよりも効果的だと思いました。
この本では工場の生産管理が主体ですが、その他の分野でも応用可能といわれているTOCですから入門書としておススメの一冊です。
(2009-01-01)
この物語の舞台は、とあるアメリカ企業の工場。赤字続きのこの工場は閉鎖の危機に立たされた。そこで、所長のアレックス・ロゴは周囲の力を借りて復活のために奔走する。
物語を読み進めていくうちに、工場の赤字を招いていた「制約条件」とそれに対する対処法が頭に入っていく。
アレックスに適切なアドバイスをくれる物理学の教授ジョナは、アレックスが正しい結論にたどり着けるよう適切な問いかけを行う。多くのビジネス書が一方的に答えを提供するが、本書ではまるで推理小説のように、読者も主人公と一緒に考えながら読み進められるのだ。また、各登場人物がそれぞれの立場の意見を、時には読者の意見を代弁してくれるのも読者の理解を助けてくれる。
本書が伝えるのは、
「企業の究極の目的は、メイクマネー。この目的を達成するために部分的な最適化だけを目指していても、全体の最適化が実現するわけではない。」
ということ。
これは、誰もが知っている当たり前のことである。しかしその「当たり前」は、実現しにくい。その原因は、組織や作業の複雑さの影で見えにくくなっていたり、組織の中のしがらみで目を瞑る必要があったり、もしかしたら、当たり前だからこそ改めて考えてみる機会がなかったり…様々だ。
本書を読んで、「組織の目的」と「組織の当たり前」を考えさせられた。
(2008-12-07)
TOC(Theory of Constraints 制約条件の理論)をストーリー調に解説した,ビジネス書としては珍しい小説型のベストセラーである.余りにも有名な話ではあるが,1992年に執筆されているのも関わらず翻訳されたのが2001年と遅く,その理由が著者の意志であり,TOCを日本人に教えることが世界経済が破綻に繋がるとの説明は,どこまで真実かは分からないものの,ビジネス書ベストセラーと成っている理由からまんざら嘘ではないように思える.
主題の制約条件に対する考え方は,近年注目されるトヨタ式生産方法の「カンバン方式」(⇒ボトルネック前工程の在庫管理と工程間在庫の最適化),セブンイレブンが提唱した「単品管理」(⇒ロット単位の最適化,大きい方が生産効率が良いとは限らない),キャノンが得意とする「セル生産方式」(⇒ラインでの大ボリューム一括生産を必ずしも肯定しない概念)など,最先端生産管理や物流への応用に活かされている部分が少なくないのではないかと思う.どちらが真のオリジナリティーかは分からないが,本書に書かれているスループット重視の制約条件の抑制は,これまで常識とされてきた生産方法の考え方を根底から覆すという意味で現代まで引き継がれていると考えるべきであろう.
実は,総ページ数552の本書にはなかなか敷居が高く,読もう・読もうと思いつつなかなか手が付けられなかったのが本音である.ところが,ようやく読み始めると結構すらすらすら進んでしまい,休日と夜の空いた時間だけで3週間程度で読めてしまった(それでも時間かかりすぎ?).主人公の奥さんとの話や子供との遠足から生産改善のヒントを掴む話など,比較的難しくない例示で分かりやすく主旨説明しているのがその理由なのかもしれない.訳者のあとがきにもあるが,米国MBA では副読本にもなっているようで,それほど有名な書籍であるのであれば,やはり読んでおく価値が高いと云うこと,時間が取れる冬休み(お正月)や夏休み(お盆)を利用して目を通しておくことをお薦めしたい一冊である.特に製造業に関わる方々に....
(2008-11-30)
企業にとって目標とはお金を稼ぐこと。お金を作るための行為は生産的、反対に
お金を作ることから遠ざける行為は非生産的。生産性とは目標に向かって会社を
近付ける、その行為そのものだ。会社の目標に少しでも会社を近付けることが
できる行為は全て生産的、その反対に目標から遠ざける行為は非生産的である。
会社が儲けている指標として、純利益、投資収益率、キャッシュフロー。
工場に置き換えた場合はスループット、在庫、作業経費が指標となる。
スループットは販売を通じてお金を作りだした割合。在庫は原材料、仕掛品を
含んだもの。作業経費は在庫をスループットに変えるために費やしたお金。
目標はスループットを増やしながら同時に作業経費と在庫を減らすこと。
そのための手段として、・プロセスは依存的事象でつながっており、部分最適ではなく
全体を踏まえて最適なプロセスを考える必要があり、加えてプロセスは理論とおりに
いかない統計的変数を踏まえたプロセスの構築が必要となる。ここで、プロセス上の
ボトルネックは何か、それをどう対処するか分かりやすく書かれている。
本書は工場を効率的に運営する術が書かれているが、日常生活でも応用できる考え方が
物語形式で書かれており、500ページ超と長いが一日あれば読み終わるものである。
本書の後半でマネジメントとは何かという問題提起をしておきながら、そこの部分が
前半同様に具体的に書かれておらず、無理やり結論を出している部分はちょっと残念。
(2008-11-12)
トヨタ生産方式を採用している会社で働いています。
リーン方式とよく似ているということと、生産管理の勉強とおもい、購入しましたが、
内容を表面的に読み取ると、まさに、トヨタ式です。
継続的改善、在庫の縮小化、等々。
もう少し、専門知識を持っていれば、他の人のように違った解釈が出来るのかも知れませんが、
私には、ただのトヨタ式の入門書にしか、思えませんでした。
トヨタ式を表面的にしか知らない人には、あまりお勧めできないかも。
聞いたことがある程度のひとには、トヨタ式の入門書かも。
生産管理を良く知っている人には、どうなんでしょうか?
TOCの勉強をするというより、生産管理の勉強をする入門書としていいかもしれません。