三星堆・中国古代文明の謎―史実としての『山海経』 (あじあブックス)おすすめ度:![]()
(2006-11-22)
華人初のノーベル賞作家、高行健の代表作『霊山』は、
『山海経』の強い影響のもとに成立しており、
長江流域を舞台とする伝説奇譚が数多く語られるとともに、
西王母や崑崙への言及がなされてもいる。
この小説を細かく読み解いてみると、作者はどうやら
四川の岷江上流の地域に強いこだわりを持っているらしく、
そのことがどうにも不思議でならなかったのだが、
本書を読んでその疑問が一気に氷解した。
とりわけ、崑崙の所在についての推定は興味深く、
思わず、高行健は本書を読んでいたのではないかと
疑いたくなってしまうほどなのだが、
『霊山』が書かれたのは1982年から89年にかけてであり、
三星堆遺跡の発見は86年のことだというから、
この時に発表された考古学的な成果が、
『霊山』に反映されていたとしても、
あながちおかしくはないかもしれない。
『霊山』とのつながりはさておき、
著者の提示する「長江文明」のイメージには、
従来の「黄河中心主義」とは異なる新鮮さがある。
また、一般には「荒唐無稽」とされる『山海経』を、
あくまで史実を反映したものとして読み解く上で、
文献資料のみに頼る歴史学の方法には限界があり、
考古学的な知見と組み合わせるべきだとする著者の主張は、
人文系の学問一般に当てはまることのようにも思えた。
(2006-02-05)
山海経が、中国の夢の神話ではなくて、三星堆遺跡の発掘から得られた遺物を通して、その説くところを解説して関連づけていく。久しぶりにわくわくしながら一気に読み切った。西王母とは、その住処など、埋もれた歴史が今日に蘇る。過去の蜀地方の人々の歴史が中国中原の歴史や呉越はたまた近隣アジアの歴史とどのように関係していくのか、そこまではこの本では分からないが、漢代墳墓壁画などとの関連など分析されていて興味はつきない。